大きな期待を頂いて買った3Dプリンターですが、想像していたものとは違い実用性がないと実感された、なんて経験はありませんか?
実際、FDM方式の3Dプリンターにおいてホットベッドを持たないものは使用できるフィラメントがほぼなくPLA素材1択と言っても過言ではありません。
しかもこのPLAと言う素材は耐熱温度が60度前後しかなく、PLAで作られたプラスチック食器は食洗機にかけて洗ってしまうともれなく変形するので手洗いしかありません。
しかも樹脂を溶かしながら積み上げて形を整えていくFDM方式のプリンターは形こそ綺麗ですが、一般の樹脂製品の様に溶かした樹脂を金型に注入して成型を行う射出成型ではありませんので、樹脂の密度や接着度は均一では決してありませんので、もろく、弱く、実際にPLA素材で3D造形したマグカップを数回使ったら取っ手がポロッっと取れた、なんて経験をされた事がある方も多いのではないでしょうか?
更に壊れた子どものおもちゃのギアを3Dプリンタで復元しておもちゃに取り付けて満悦感を味わっていたのに、子どもがほんの少し遊んだだけで3Dプリンタで作ったギアが欠けて思っていた以上に実用性がない事を思い知らされたなんて事はないでしょうか?
そこで今回は、家庭用3Dプリンタでありながら実用性十分なTPRフィラメントが使える3Dプリンタ「Cambrian」をご紹介致します。
2.85mm TPR(熱可塑性ゴム)フィラメントが使える
さて、このFDM方式の3Dプリンター「Cambrian」の特徴は1.75mmのフィラメントが扱えるヘッドと2.85mmのフィラメントが扱えるヘッドの2つのヘッドを備えているだけでなく、2.85mmのヘッドはTPR(熱可塑性ゴム)フィラメントが使える事です。
このシリコン系やゴム系のフィラメントはノズルの温度やヘッドの移動スピード等の設定が非常に難しく、素人がおいそれと手を出せるものではなく、しかもTPR造形が可能な3DプリンターはTPRやTPE素材専用な為、一般的なABSやPLAと言ったフィラメントを使った3D造形ができませんので、一般の方がちょっとスマホケースをTPRで作ってみたいなと思っても、ネットプリントに出すか、そうか諦めて自分が作ろうと思っていたスマホケースのイメージに近い市販品を購入するしかありません。
ですが、TPR素材は、耐摩耗性、耐衝撃性、耐薬品性、引張強度(引っ張った時にも破れにくい)、靭性・曲げ疲労性(ねじったり曲げたりした時にも壊れにくい)と言う性質を持っており、スマホケースの他、アウトソール、クロックスの様な樹脂で作られた靴、スリッパなど様々な実用性もあるものを作る事ができます。
しかも”Cambrian Pro”の造形サイズは235mm×235mm×250mm、”Cambrian Max”は320mm×330mm×380mmと印刷ボリュームが一般的なホビー用の3Dプリンターと比較しても倍以上の造形エリアを持っており、Maxは大人用のスリッパを左右揃って造形する事ができます、1.75mmヘッドとABSやPLA、TPR,PETGと言った一般的な樹脂素材を使っても非常に大きなフィギュアまで造形する事ができると言うのも魅力的です。
本体のみでサイズ変更が可能
そしてこの「Cambrian」では、SDカードに入れたデータを3Dプリンター本体だけの操作で3D造形できる他、PCとUSBケーブルで接続して造形する事も出来る様になっているのですが、”Cambrian”本体だけでの3D造形がとても優秀なのです。
と言いますのはホットベッドやノズルの温度調整が本体で任意で設定可能ですので、同じデータを使いフィラメント素材を変えて造形すると言った事が出来ますが、こう言った機能は他の同ジャンルの3Dプリンターにも搭載されています。
ですがこの”Cambrian”には元のデータを変更する事なく、3Dプリンター本体の操作で造形物の拡大縮小3D造形が可能ですので、一度作った子どものサンダルのデータを足が大きくなったからと少しサイズを拡大して3D造形すると言った事が出来るのです。
更にホッドベッドはガラスプレートを使っており剥離し易くなっているなど細かな所でも使い易くなっています。
ドライバー1本で組み立て収納
更に3Dプリンターを購入したはいいが、あまり使わないのに設置スペースを取って邪魔、と言うのはよく聞く話です。
そこでこの”Cambrian”では分解して収納できる様になっている他、ネジ1本で組み立て分解ができますので女性にでも簡単に扱えます。
更にヘッドの方もドライバーでネジを外して簡単に交換できる様になっているだけでなくキャリブレーションなども自動で、初心者でも使える様な工夫が随所に施されています。
ただ1つこの”Cambrian”でおしいなと思うのはXYZ解像度が0.1mm〜0.3mmと荒く、フィギュアの顔の細かな表情や、1本1本の髪の毛を再現すると言った事は少し苦手です。
ですがTPR造形ができ、それにプラスしてABSやPLAと言った1.75mmフィラメントが使えるのですからコスパ的にはとても魅力的な3Dプリンターになっていますので、もし興味を持たれた方は下記URLにて詳細はご覧ください。
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