LPWA(Low Power Wide Area)と呼ばれる通信規格の事はご存じでしょうか?少なくともIoT(Internet of Things)は聞いた事があると思いますが、IoTはモノのインターネットと言われ例えば、自宅にあるテレビやBlueRayだけではなく電子レンジ、冷蔵庫、洗濯機、照明、エアコン、インターホン、ありとあらゆるものをインターネットに接続すると言う技術です。ただインターネットに接続しようと思うと必ず通信ユニットが必要なのですが、そこで最近注目を集めている技術がLPWAです。
このLPWAは例えば単3電池2本で10年以上も通信可能と言う省電力性能と長い通信距離を持っているのが特徴で既にサービスを開始している「SIGFOX」と「LoRa」と言う規格で言えば「SIGFOX」は100bpsと言う低速通信しかできませんが(例えば計測した気象データ(気温や湿度、気圧etc)を送信するのであれば十分です)、最大通信距離は何と50kmです。そして「LoRa」は3Kbpsと言う通信スピードで最大通信距離は15kmとこちらもWiFiやBluetoothとは比較にならないくらいの通信距離を誇っています。
更にこららは920MHzと言う決められた周波数を使った独自の通信規格なので最大通信距離以上の通信を行う場合はリピーターと呼ばれる電波を中継する機器を設置する必要がありますが、最近docomoやSoftbank、auと言った大手通信会社が続々と参入を表明しているLTE通信網を使った「Cat.M1」や「NB-IoT(NB1)」は既存の通信会社の通信網を使用できますのでその距離の制約は受けません。
そう言う次世代の通信規格を詰め込んだMicroPythonマイコンボードがこの「FiPy」です。
では「FiPy」のスペックについてですが、メインCPUはESP32を使用しRAM:4MByteでFlash:8MByteとなります。次に
搭載通信モジュール
WiFi , Bluetooth , LoRa, SIGOFOX, LTE Cat.M1, LTE NB-IoT
GPIO
GPIO × 22
Analog I/O 12bitADCs × 8, 8bitDAC × 2
PWM × 16ch
UART × 2, SPI × 2, I2C × 2, I2S
64bit Timer × 2
nanoSIMスロット × 1
WS2812 LED × 1
とこれがメインボードのスペックになりますが、このスペックだけを見てももうワクワクしますよね。「FiPy」がとりあえず2個あればこれから寒い冬、朝通勤するのにエンジンをかけに行って車が暖まるまで待つのがとても辛い所ですが、例えば自宅から借りている駐車場まで500mあっても余裕で電波を飛ばす事ができますから、エンジンスターターなどを自作すればもう冬場に寒い思いをしなくても済みますし、電池駆動の気象観測ユニットなども今までArduinoにESP32を組み合わせて作っていた頃はすぐにバッテリーがなくなって大変だったけれど、これからはあまりバッテリー残量を気にしなくても良くなります。
そしてメインボードの他に1つはプログラム書き込み用に購入しておきたいボードが”Pysense”です。USBシリアル通信モジュールを搭載していますからプログラムファイルを書き込むのに便利ですし、その他にも照度センサー,気圧センサー,湿度センサー,温度センサー,加速度センサー,Li-Poバッテリーチャージャー,MicroSDカードスロット×1と、「FiPy」をこの”Pysense”にセットしてソーラーパネルとLi-Poバッテリーを接続しておけばバッテリー交換のいらない百葉箱と言ったものが簡単に作れてしまいます。
そしてもう1つの拡張ボードが”Pytrack”で、こちらはGPS受信ユニットを搭載しています。受信できる衛星はGPSの他に, GLONASS, Galileo and QZSSに対応しており、その他に加速度センサーにLi-Po充電回路にMicroSB,USBを搭載していますので、こちらは例えば車や自転車の盗難防止追跡ユニットみたいなものが考えられますね。そしてLTE経由で専用のサーバーに移動すればGPSの位置データを送信する様にしておけばどこにいてもスマートフォンで自車位置の確認ができますし、愛犬の首輪に組み込んでおくと言うのもいいのではないでしょうか?
なおLPWA通信モジュールについての詳細については下記URLをご覧ください。
https://www.kickstarter.com/projects/1795343078/fipy-the-worlds-first-5-network-iot-dev-board
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