光造形(SLA:Stereolithography)プリンターは、FDM方式の3Dプリンターが溶かした樹脂を動くヘッドから射出する事で立体構造物を作って行くのに対して、紫外線で硬化する樹脂(通称レジン)に紫外線レーザー光を動かしながらレジンを固まらせて行く3D造形手法です。
SLAプリンタはレーザー光を移動させながら樹脂を固めて行くため、装置に非常に高い精度が求められるだけでなく紫外線レーザーを用いるため装置が非常に高価な上に1本のレーザー光線を移動させながら造形しますので、造形に非常に時間を要すると言う欠点を持っています。
ただ細かなレーザー光線をレジンに当てて硬化させて行きますので、FDM 3Dプリンターでは到底無理な精度の高い細かなディテールの造形物を作る事ができます。
そして今回紹介するFHD SLAプリンター「ZoomMaker FHD」は何とSLAプリンターの価格破壊とでも言うべきプリンターなのです。
液晶ディスプレイがもたらした革命
SLAプリンターは光源の制御にみなさんが日々見ておられる液晶ディスプレイを利用する事で大きなイノベーションをもたらしました。
液晶ディスプレイ=LCDは、電圧をかける事でシャッターの役目を果たす液晶が開いたり閉じたりする事で、液晶の裏で光っている赤・青・緑の光を通すか通さないかで1枚の絵を表示します。
そしてLCD-SLAプリンターでは光源にUV-LED(紫外線LED)を用いて液晶のシャッターが開いた部分だけ紫外線を通す事でレジンを硬化させるのですが、造形物をMRI等で輪切りにした様な画像を作りLCDディスプレイに表示させる事で一気に輪切りデータ分の造形ができますので、従来と比較して何十倍にも造形が高速化する事ができました。
しかも液晶ディスプレイは今では価格が非常に安いので、高価な紫外線レーザーを使用したものよりも何倍も安価に装置を作れる事ができる様になり、この「ZoomMaker FHD」では1080P(1,920×1,080ピクセル)表示のLCDディスプレイを使いXY解像度45μmで縦横120 x 68 mmサイズの造形を可能にしています。
プリント手段はUSBのみ
低価格でXY解像度45μm、Z軸解像度10μm、図形サイズ120 x 68 mm × 140mmの造形物をプリントできる様にWiFiやBluetoothによるワイヤレスプリントや、Webカメラによる造形監視と言った造形そのものには関係なく造形を便利にする様な機能は省かれており、この「ZoomMaker FHD」では作成した3DモデルのSTLファイル等に変換し、コピーしたUSBメモリからしか3Dプリント出来ない様になっています。
つまりこの「ZoomMaker FHD」ではタブレット等での造形データの作成してワイヤレスでプリントすると言う様に初心者でも簡単にPLAプリンターを使ってフィギュア等を3D造形する様には作られていませんのでその当たりは注意が必要な点です。
3.5インチタッチパネル搭載
ただこの「ZoomMaker FHD」には3.5インチのタッチパネルを搭載しておりSLAプリンターの調整や造形制御、そして進捗状況なども表示できる様になっていますので、後何分、後何時間経過すれば出来上がるのかをリアルタイムで確認する事ができる様になっており、ワイヤレスプリント等ができない不便さを最小投資で補完できる様にうまく設計されていますので、もし詳細をご覧になありたい方は下記URLをご覧ください。
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