一般的にホビーユースで手軽に使える3Dプリンタとしてフィラメントと呼ばれる樹脂を溶かしながら造形して行くFDM方式と、今回紹介するSLA方式の様にレジンと呼ばれる紫外線を当てると固まる性質を持った樹脂を使い造形するプリンタがあります。
このうちSLA方式(光造形方式)は最近はみなさんが毎日見ているスマートフォンやテレビに使われている液晶モニターを利用したLCD-SLA方式が主流になっています。
と言うのは今までは1本のレーザー光を動かしながらレジンを固めたり、DLPと言ってプロジェクターで造形物を輪切りした状態の映像を照射してレジンを硬化させて造形して行くと言う方式があったのですが、ホビーユースのものはどちらも装置を基本構造と装置そのものの費用対効果を考えると50cm四方程度の小さなものしか造形できませんでした。
ところがLCDパネル(液晶パネル)をフィルターとして利用したLCD-SLA方式は光源の紫外線をLCDパネルに表示させた造形物の輪切りデータが紫外線を遮ったり透過させたりして造形して行きますので、2Kや4Kと言った高精細なLCDパネルを使えばより精密な造形ができるだけでなく、レイヤー(層)毎に造形するので解像度を上げてもスピードが落ちないと言う利点があります。
ただ1つだけ、LCDパネルの寿命が一般的には200時間程度とホビーユースのものは言われており、寿命が来ればLCDを交換しなければ引き続き造形できないと言う問題を抱えているのです。
例えば2時間かかって造形できる造形物なら100個しか作れませんし、3時間かかるのもなら約33個です。
そのLCDパネルの短寿命化を真剣に考えて長寿命化したLCD-SLA 3Dプリンタ「Longer」を今回はご紹介致します。
問題は紫外線光源の熱
では一体何がLCDパネルの寿命を短くしているのかと言いますと、それは紫外線光源が出す熱です。
レジン工作をされている方であれば、UVライトを照射した後に造形物がほんのりと熱を持っているのを感じられた事があるでしょう。
こちろん化学反応で熱を出しているのもありますが、UVライトによって暖められていると言うのも実際のところはあるのです。
赤外線を利用したコタツやハロゲンヒーター等が暖かく感じるのと同じで紫外線もかなりの高エネルギーな光なのでその紫外線が当たったものは赤外線同様に暖められます。
そして紫外線で暖められた液晶パネルは、パネルに使われている樹脂が暖められて高温状態が続くと、樹脂の劣化や破壊と言った事に繋がるからなのです。
ではどうすれば寿命を長くできるのか?それは加熱により劣化するのであれば冷やして高温状態にしなければ良いだけで、この「Longer」はパネルの冷却に力を入れています。
造形品質は普通
ところでこの「Longer」は一体どうなのでしょうか?LCD-SLA方式の場合、造形サイズや解像度はLCDパネルの解像度に比例しますので、LCD-SLAに関しては使っているLCDパネルが同じであればほとんど変わりません。
この「Longer」の造形サイズは120×68×170mmとフィギュアやちょっとした城のオブジェを作ったりするには丁度良いサイズで、XY解像度はLCDの解像度が2560×1440pixlで47.25μm、積層ピッチが0.02〜0.1mm、造形スピードは積層ピッチ0.1mmで30mm/hと普通です。
ですから普通のスペックで長持ちで低価格がウリの「Longer」ですが、やはりパネルの交換となると素人にはハードルが高いので、長持ちすると言うのは嬉しいですよね。
ただ価格を安く抑える為にWiFiやUSBでの接続は省かれ、STL形式等の造形データをSDカードにコピーしてそれを「Longer」のカードスロットに差し込んでの造形となりますのでご注意ください。
なおその他詳細なスペック等につきましては下記URLをご覧ください。
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