FDM式の3Dプリンター技術は既に成熟期となっており、これ以上のイノベーションは起こせなくなっており、ちょっとした機能的な差はあるものの、どのメーカーのどの3Dプリンターを選択してもあまり変わらないと言ったのが現状になります。
ただ3D造型を行う上での問題点を解決する事でスピードアップを計る事は可能で、今回紹介する3Dプリンター「SV08 Max 3D」は小さな工夫でより高速造型が可能となっています。
Eddy Current Sensor
まずFDM式の3Dプリンターにおいて、造型中の失敗を防ぐにはベッドの傾きやベッドの変形を把握すること、造型中のフィラメントを一定スピードで供給する事、そしてフィラメントの射出ヘッドを一定温度に保ち、射出したフィラメントを均一スピードで冷却し固めて行くと言う事が造型の失敗を防ぐだけでなく、スピードアップを同時に計る事が出来ます。
そこでFDM式の3Dプリンターでははず、フィラメントを乗せて行く板=ベッドの傾きなどを最初に計測する事でフィラメントの射出場所の補正などを行った上で3D造型を行って行くのですが、たいていはベッドの4隅だけ、計測ポイントが増えて8ポイントや16ポイントと言った感じでポイントでしか計測しませんが、何度も繰り返し使っているベッドでは傾むいて行くだけでなくベッドそのものの歪んで変形して行ったり、凹凸が生まれたりして行きますので凹んだ部分に溶けたフィラメントを射出してもベッドにうまく張り付かずフィラメントがヘッドに引っ張られて伸びたりと言った事が起こり、最初から造型に失敗したりと言う事が起こります。
そこでこの「SV08 Max 3D」では、センサーを使って縦横500×500mm四方のベッドの位置をくまなくスキャンする事で、小さな凹凸や歪みと言ったものも検出する事ができ、そのデータを元に補正してフィラメントを射出して行きますので、最初からフィラメントがベッドに乗らず失敗すると言った事がなくなりますし、500×500mm四方のベッドをくまなくスキャンしたとしても80秒程度しかかからないので、何度も失敗を繰り返してフィラメントを無駄にする事を思えばわずか80秒のスキャンタイムなんて大した事はありません。
トリプルクーラーでフィラメントの射出スピードをコントロール
次にこの3Dプリンター「SV08 Max 3D」の造型ボリュームは500×500×500mmもあり、フィギュアと言うよりも置物の様なものや、実寸大の花瓶なども3Dプリントする事が出来るだけのスペックを持っています。
ただこれくらいの大きさになるとヘッド移動スピードやフィラメントの射出スピードをアップさせないと何時間と言うレベルではなく何十時間と言うレベルで造型時間が変わって来ます。
ただフィラメントの射出スピードを上げる為にヘッドをガンガンヒーターで加熱しフィラメントを送り込み続けると今度は射出されるフィラメントの温度に大きく影響してしまい、フィラメントの射出量やフィラメントの固まるスピードに差が出て来ると造型はたいてい失敗します。
そこでこの「SV08 Max 3D」ではヘッドから射出されたフィラメントを冷却する為のファンが2基搭載されており、ファンによって取り込まれた空気はヘッドカバーによって誘導されヘッドから射出されたフィラメントに直接当たる様になっており、急速冷却が出来る様になっています。
ただこれだけだと他の3Dプリンターにも同じ様なシステムを搭載したものがありますが、この「SV08 Max 3D」ではもう1台ヘッドの温度を一定に保つ為のヘッドを冷却する為のファンも搭載しており、ヒーターの温度コントロールだけではヘッドの温度は緩やかにしか上下しませんが、ファンを使う事で細かくヘッドの温度を調整する事ができ、射出するフィラメントの温度を一定にする事で造型の失敗を防いでいます。
カメラを使って障害物を検出
そしてこの「SV08 Max 3D」はカメラを搭載しており、カメラを通して造型中の造形物をリアルタイムで確認する事が出来たり、タイムラプス画像を撮影したりと言った事が出来る様になっているのですが、この他にカメラを使って障害物や造型の失敗などをリアルタイムに検出する事が出来る様になっており、もし何かアクシデントが行ったとしてもすぐに対処する事が出来る様になっていますので、もし失敗したとしても最小限の被害で済みますし、場合によっては続きから造型を再開する事も出来ます。
そしてこの「SV08 Max 3D」では使用できるフィラメントは1種類だけですが、途中で交換しながら色の違うフィラメントを使って多色造型を行ったり、この3DプリンターではPLAやABSと言ったフィラメントの他にPA、PC、ASA、PETG、TPUなどをフィラメントを使って造型を行う事も出来ますので、もし興味を持たれた方は詳細は下記URLをご覧ください。
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