FDM(Fused Deposition Modeling:熱溶解積層方式)方式の3Dプリンターの場合、たいてい0.4mmと言うプリンタヘッドからフィラメントと呼ばれる溶けた樹脂を射出し重ねて行く事で造形して行きますので、積層ピッチ(積み上げる幅)は0.1mm以上になります。
またXY解像度も0.4mmのノズルからフィラメントが出て来る事を思うと0.01mm以下の精度を持たせても造形物に影響が出て来るかと言うと、素人目には分りませんので0.1mmオーダー前後がFDM方式の3Dプリンターの場合は普通です。
ですが今回紹介するFDM方式3Dプリンター「XY-3 SE」は、何と位置制御をμmオーダーにする事でFDM方式ながらSLAに近い造形精度を持たせた上に2色造形+レーザー彫刻まで可能な3Dプリンターです。
XY解像度6.25μm Z軸解像度1.25μm
この3Dプリンター「XY-3 SE」の最大の特徴は位置制御がμmオーダーであると言う所です。
FDM方式の場合、最小径0.4mmのノズルを使っても、このノズルから射出されるフィラメントは0.4mmオーダーかヘッドの移動スピードにもよりますが引っ張られても0.1mm程度でしょうからμmオーダーの位置制御を持たせても意味のない様に思えますが、例えばXY解像度が0.1mmだと0.1mm単位でしか移動できませんので、ひょっとするとタイミングベルトが滑って1山動くと0.1mmズレますので、0.1mmズレた状態で造形されて行きます。
一方この「XY-3 SE」の様に6.25μmですと1山ベルトが滑っても6.25μmですのでほぼ影響がないので結果的に言えば造形精度が上がります。
またこの「XY-3 SE」はスライダーを挟み込む様にガイドローラーでしっかりと挟み込んでいるのも位置制御を高めている要因です。
精度の高いオートレベリング
またこの「XY-3 SE」の精度の高さを誇っているのはヘッドやベッドの位置制御だけではありません、ベッドの傾きや歪みを正確に把握するのも精度を左右して来ます。
例えばベッドが右に傾斜しているとしましょう、そう言う時右側でレベルを計測するとヘッドが左側に移動した時にベッドに当たるかもしれません。そうなるとその部分で射出されたフィラメントはヘッドに引っ掛かってベッドに広げられるので結果的に最初から造形を失敗する事になります。
ですのでこの「XY-3 SE」では造形する前にヘッドとベッドまでの距離を計測してレベル調整するのはもちろん新しい領域にフィラメントを置く場合は事前にレベルを計測してからヘッドを動かしていますので失敗がありません。
ただプリントスピードは20〜150mm/sですが標準は60mmとそう早くはないので造形に時間はかかりますが、精度は高くなります。
また精度を高める上で「XY-3 SE」のヒーターベッドは通常は薄い樹脂やカーボンと言ったもので出来たものを使うのですが、この「XY-3 SE」では専用のガラス製のベッドを用いていますので、歪まない上にヒーターで温められても変形ないと言う点も精度を上げている他、ガラスなので造形物の剥離も良いのです。
ダブルフィラメントで多色造形
そしてこの「XY-3 SE」では単色で造形できる他、2本のフィラメントを切り替えて造形する事もでき、多色造形できる他、途中でフィラメントを入れ替えて最大255×255×260mmサイズの造形すると言った事もできる様になっています。
更にヒーターベッドを使っていますのでPLA,ABSと言ったフィラメントの他にTPU,PETG,Woodと言った性質の違うフィラメントを組み合わせて造形する事もできます。
500mW
また「XY-3 SE」には出力500mWのレーザーモジュールがセットになったバリエーションも用意されており、500mWなので木やコルク、革や紙と言った素材の他、樹脂や金属にも彫刻ができるなど一石二鳥な3Dプリンターとなっています。
またこの「XY-3 SE」は組み立て式でネジ10本で組み立てられますので邪魔な時はネジを外してコンパクトにして収納しておくと言った事も出来ますので、もし興味を持たれた方は下記URLにて詳細はご覧ください。
https://www.kickstarter.com/projects/sleekdiy/xy-3se-fdm-3d-printer-and-laser-engraver
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