2次元のディスプレイに表示された3D映像を私たち人間が立体的に感じるのは、その映像の中に距離を感じさせる情報が含まれており、それを脳で処理する事で疑似的に立体的に見せる事が可能です。
ですから3D撮影が可能なカメラは、私たち人間の眼の様に適切な距離を離したレンズによって同時に撮影する事で2つのレンズで撮影した映像のちょっとした差、ズレから距離情報を算出し、平面な画像を3Dに見せる事が可能になっています。
ですから3D撮影には必ず専用の撮影機材が必要となるのですが、今回紹介するレンズ「K|Lens One」は何とCanonやNikon、Sonyと言ったメーカーのデジタル一眼レフカメラやミラーレスカメラで3D映像を撮影する事ができるのです。
捉えている風景を9つに分割するレンズ
では一体どの様にしてこのレンズ「K|Lens One」はカメラで捉えている風景を立体的に見せているのかと言いますと、それはレンズに秘密があります。
この「K|Lens One」は見ている風景を縦3×横3の合計9つに映像を分割する事ができる特殊なレンズで、ただレンズで捉えた映像を9つに分割するだけでなく、9つの映像は少しずつズレた状態になっています。
つまりこの9分割された映像を1枚に重ね合わせるとピッタリと1枚の映像になるのではなく、モノの輪郭、エッジ部分がボヤけた様な映像になるのですが、このほんの少しの9つの映像のズレから深度情報(距離情報)を専用の”SeeDeep”と言うアプリによって処理する事で立体映像に変換する事が可能となっています。
静止画以外にも動画の撮影も可能
そしてこの「K|Lens One」は静止画だけでなく動画の撮影が可能となっているのが、1番の魅力点です。
これは3D動画が撮影できるから、と言うのではなく例えば人物をクロマキー撮影しておき後から背景を合成すると言った場合、どうしても2次元動画ですと風景と人物の距離感が違うと非常に違和感のある映像となります。
一方で深度データのある動画ですとアプリ側でその情報を使い3D合成する事ができますので、違和感のない動画が合成できると言う事になりますし、風景と人物を別々に撮影しておく事で効率的な撮影が可能になります。
またこの”SeeDeep”で出力されるファイルはPremiereやNukeと言った動画処理ソフトで扱えるフォーマットで出力できる様になっており使い慣れたソフトで編集作業ができれると言うのもメリットの1つです。
撮影を助ける5インチモニター
また撮影時にはカメラのモニターやファインダーには9分割された映像が投影されますので画角を調整したりフォーカスを合わせたりと言った事が慣れませんとかなり大変です。
そこでオプションで独自のソフトウェアを備えた5インチモニターが用意されており、このモニターをカメラに接続する事で、9分割された中央の映像だけをモニターには大きく表示される様になりますので撮影はずっと楽になります。
またこの「K|Lens One」はEマウント、Fマウント、EFマウントのCanon、Nikon、ソニー等々のカメラで利用可能ですが、Lマウント(パナソニック、ライカ、シグマ等)、L-Fマウントアダプター(ノボフレックス等)も提供される予定で、ほとんどのメーカーのカメラで利用可能となっていますので、もし興味を持たれた方は詳細は下記URLをご覧ください。
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