光造形3DプリンターはSLAと言って紫外線レーザーを紫外線硬化樹脂に当てる事により硬化させて立体造形する所から始まっており、1本のレーザー光を一筆書きの様にレーザー光を移動させながら造形させて行きましたので1つの造形物を作るのに忍耐が必要なくらい造形に時間を必要としました。
またレーザー光を細くして解像度を上げれば上げるほど造形時間はそれに比例して増えると言うデメリットも持っていたのですが、それを打破したのがDLP方式で、プロジェクターでスライス化されたデータを面でレジンに投影する事で速度を克服できましたし、その後出て来たLCD方式はプロジェクターを液晶モニターに変える事で価格を非常に抑え、一気に効果だった光造形3Dプリンターを個人の手でも購入できる価格にまで引き下げました。
ただ下面照射と言ってレジンの入った水槽の下から照射するLCD方式やDLP方式は漏れた紫外線によって底のレジンが効果し薄い膜をつくってしまうので定期的にその膜を除去し清掃する必要があり、定期的にクリーニングしなければならないと言う手間がかかるのが1番の問題点ですし、レジンも無駄に捨てなければいけずランイングコストが問題となって来ます。
そこで今回紹介する光造形3Dプリンター「Rocket 1」は速度と解像度、そしてランイングコストの3つの問題を一気に解決した3Dプリンターです。
Digital Continuous Liquid Forming (DCLF) technology
今回紹介する光造形3Dプリンター「Rocket 1」では独自開発を行ったDCLF(デジタル連続液体成形)テクノロジーと言う技術を用いてレジンを紫外線照射する事で硬化させて3D造形を行います。
このDCLFはDLP方式の派生形の様なものでDLPは下面からプロジェクターを用いて紫外線を照射してレジンを硬化させて3D造形を行いましたがこの「Rocket 1」では上からプロジェクターを用いて紫外線を照射してレジンを硬化させています。
では何故今までにこの「Rocket 1」の様に上面からプロジェクターでスライスデータを投影して光造形を行う3Dプリンターが存在しなかなったのかと言えば、液体のレジンを使っているのが原因です。
照射した紫外線はレジンの表面に当たって硬化させます。そして徐々に水槽の中に沈下させて行きながら上へ上へと積み上げて行きますので言うなればFDM方式と同じです。
ただこの時、ベースを沈下させると多少なりとも水面が波打つため、その波打つのを待ってから次の紫外線を当てませんと波打っているレジンの表面に紫外線を当てると造形物が歪んで造形される事になりますのでその水面が落ち着くのを待つ時間分、造形時間も長引きますし、表面張力が働いて水面が凸凹とするのも問題の1つです。
ですがこの「Rocket 1」ではDCLF方式によってXY解像度50μm(”Rocket 1 Pro”は35μm)、Z軸解像度1μmで何と380mm/時間のハイスピードで造形する事が可能なのです。
しかも高速造形が可能なだけでなく上からレジンに向けて紫外線を照射しますのでLCDやDLP方式の様に水槽の底にうっすらと硬化したレジンの膜を作る事がないので定期的な清掃も不要で手間がかかりませんし、その上無駄に捨てるレジンが出ないのもメリットです。
DCLFを支える特殊レジン
ではどして水面が波打ち、表面張力によって液体レジンの水面に起伏がつく問題を解決したのかと言うと、それには独自開発したレジン液が大きく関与しています。
このレジンは特殊な液体の中にナノプラスチックが混ぜられており、この特殊なレジンは水面に特殊な膜を作った下に紫外線を照射すると硬化するナノプラスティックを含んだ層を形成する事で水面下で液体レジンを硬化させますので水面が波打ったりしてもその影響を受ける事はありませんし、造形物は水面下にあり紫外線硬化は表面の膜のその下で行われますので下面照射と同じ様に完全に液体中での硬化となるため表面張力による影響は受ける事がないのです。
特に透明レジンが魅力的
またレジンは一般的なレジンは使えず、専用のレジンを使わなければならないのですが、このレジンの種類が豊富で中でもアクリルの様な性質を示す透明レジンはレンズの様なものを作ったりする事も可能ですので、例えば遠近両用レンズ、乱視用レンズを独自に設計する事もできると言う訳です。
またこの「Rocket 1」の造形ボリュームは130mm×82mm×150mmなのに対して”Rocket 1 Pro”は143mm×89mm×150mmと若干XYサイズが広くそして解像度が高くなっていますので、レジンのラインナップと共に詳細は下記URLにてご確認ください。
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