FDM(Fused Deposition Modeling/熱溶解積層法)方式の3Dプリンターは今やインクジェットプリンター並に安くなり、DIYキットであれば2〜3万円も出せば造形ボリューム20cm四方のフィギュアが製造できる様な3Dプリンターを手に入れる事ができます。
ただ価格は性能に直結します。DIYキットを購入して組み立てて、最初の造形物が上手にプリントできた時はとても嬉しいものですが、3DCADソフトにも慣れ、自ら設計したモデルや、ネットからダウンロードしたフリーの素材をプリントしていくと、造形の粗さが気になり出します。
ただこれだけはいくらプリントスピードを遅くしようにもプリンターヘッドを動かす為のモーターの精度に左右されるため、新しいハードを購入しなければもっと精密な造形物を作り出す事は不可能です。
そこで今回は、DIYで作った3Dプリンターをアップグレードして精度を8倍強に上げる事のできるリプレイスキット「AnanasStepper 3.0」をご紹介致します。
スティッピングドライバーとモーターコントローラーがセット
この「AnanasStepper 3.0」はヘッドを動かすスティッピングモーターとモーターコントローラーがセットになったキットで、みなさんがDIYで作ったFDM方式の3Dプリンターに使ったスティッピングモーターを”AnanasStepper 3.0”に交換に交換し、3Dプリンターに取り付けたコントローラーボードを”AnanasStepper 3.0”専用のコントローラーボードにリプレイスするだけで精度が飛躍的にアップします。
ただ1つ気を付けなければならないのが固定用のブラケット等は付属せずスティッピングモーターの固定用のビスの穴ピッチが31mmなので、既に3Dプリンターに取付られているスティッピングモーターの穴径が同サイズか、ブラケットの穴位置が調整できて取付可能か確認する必要があります。
そしてもし、造形ボリュームの大きな3Dプリンターであればモータートルク1.2Nmの”AnanasStepper 3.0 Pro”が用意されており、こちらは穴ピッチが47mmになります。
AnanasStepper 3.0のステップ角は0.01°
では何故、この”AnanasStepper 3.0”と言うスティッピングモーターに交換するだけで造形精度が上がるのかと言いますと、このスティッピングモーターのステップ角が0.01°と一般的に3Dプリンターに使われているスティッピングモーターと比較して1ケタ精度が高いからです。
一般的な3Dプリンターに使われているスティッピングモーターは3600ステップ、つまりステップ0.1°と1ステップ動かすと0.1°動くタイプなので、一緒に使われているタイミングベルトやウォームギアの種類にもよりますが、ヘッドを0.1mm単位で制御できたとします。
ですがこの”AnanasStepper 3.0”はその10倍の0.01mm単位でヘッドを制御する事ができますので、より精密な造形が可能になるのです。
クローズ・ループ制御も造形精度を保証
そしてスティッピングモーターは通常、何ステップ回すのか、と言う信号を送ってモーターを制御しますので、正確な位置制御、角度制御が可能なのですが、何かに引っ掛かったり、タイミングベルトが滑ったりして送り出した信号通りのステップ数、回らなくてもコントーラーはその状況を知る術を知りませんので造形物は当然のことながら崩れます。
そこでこの”AnanasStepper 3.0”ではロータリーエンコーダを内蔵し、モーターが実際に何ステップ回ったのかをコントローラーにフィードバッグするクローズ・ループ制御を行っていますので、ベルトが滑ったり、ヘッドが3Dプリンターの突起部分に引っ掛かったりしても元の位置に復帰して正確にモーターヘッドが動く様になっていますので失敗がないのです。
なおこの”AnanasStepper 3.0”は専用コントローラーでの制御の他、PCにUSBケーブルで直接接続して制御する事も可能となっていますので、もし詳細をご覧になりたい方は下記URLをご覧ください。
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