従来、紫外線レーザーでレジン(紫外線硬化樹脂)を固まらせながら造形を行うSLAプリンタは、FDM方式とは比較にならない程高精細な精密な造形ができる代わりに、スピードが遅いと言うのが問題点で、寝る前にプリントボタンを押したはずなのに朝になっても造形できていないなんて事は昔は普通でした。
ところがレーザーの代わりにLCDパネル(液晶パネル)を使ったPLAプリンタが登場すると問題となっていたスピードは一気に改善されただけでなく、解像度、精密度と言う点も4Kサイズの解像度のパネルを使う事でより高解像度化されるようになりました。
と良い事づくめのLCD-SLAプリンタなのですが、LCDに変わる事で問題がなかった訳ではありません。
そこで今回は、そのLCD-SLAプリンタになった事で発生した問題点をクリアし、真の高精細化されたLCD-SLAプリンタ「IBEE」をご紹介致します。
0.2mmの穴を再現
この「IBEE」の最大の特徴は0.2mmの穴もしっかりと真円に開ける事ができると言う点です。
0.2mmの穴が開けられるってそんなに大袈裟に取り上げる事なの?と思われる方も多いかと思いますが、実際のところ4K解像度のLCDを使ったLCD-SLAプリンタでも光源がしっかりと光っていなければ真円には作る事ができません。
例えばLCD(液晶)と言うのはみなさんが見ている映像が表示されるパネルの裏側にはバックライトと言う光源が埋め込まれており、赤・青・緑のフィルターを光源が通過する事で液晶パネルは光って見え、それが映像として見る事ができます。
そしてバックライト、昔は冷陰極管と言う蛍光灯の様なものを光源として利用していましたが、今ではLEDにリプレイスされており、省電力化、高輝度化されていますが、人間の眼では全く同じ明るさに見えていても実際はムラがあり光源のある場所は明るく、そして少し離れた場所は光量が落ちてパネル全体が均一に同じ輝度(明るさ)で光っている訳ではありません。
そしてそれがLCD-SLAプリンタでは造形ムラ(紫外線の強い部分は固まるが弱い部分は柔らかいままか固まらない)となって現れるのですが、誰も太さ0.2mmの髪の毛を表現しようと思わないで実際には問題ないので気付いていないだけなのですが、この「IBEE」では、例えば従来のLCD−SLAプリンタはパネル全体を20個の紫外線LEDで光らせていたのを「IBEE」では60個、80個に増やす事でより均一にパネルを光らせる事ができる様になっており、それが造形制度の高さに繋がっています。
造形ボリュームと造形精度
次に「IBEE」のスペックですが、造形サイズは192×120×200mmと、SLAプリンタとしては高さ、ボリュームがあるのが特徴で、フィギュアなども簡単に造形する事が可能です。
そしてXY解像度は49.8μm、Z軸(高さ)解像度は25,50,100μmから選択可能でその制度は10μmとかなり高精細になっており、最大造形スピードは80mm/時間ですので高さ200mmのフィギュアを造形したとするとたった2.5時間、150分で造形できるのですから、SLAプリンタを触った事がある方であれば驚きです。
そしてそれを実現しているのがZ軸解像度の3択ですが、これはこの「IBEE」が光源強さ、明るさをコントールできる様になっているからで、ドラフトで造形して形を確認したいと言う時に100μmで造形すれば早いので助かります。
また安価なプリンタはデータをUSBメモリ等に入れてプリンタ側でプリント操作をしなければならないのですが、この「IBEE」ではWi-Fi,Ethernetをサポートしておりワイヤレスでも造形できますので便利です。
造形コストを下げるバットとフィルム
そしてLCD-SLAプリンタはレジンの他にFEPフィルムが底に張ってあり、フィルムにキズが入っていたり折り目が入っていたり、硬化した樹脂が付着し、指先で触ってザラザラ感があればFEPフィルムを交換しなければいけませんが、そのフィルムが何とこの「IBEE」専用フィルムは$2と超安いのです(一般的には10枚5,000円前後)。
そしてバットの方もLCD-SLAパネルギリサイズにできるだけ小さく作ってありその分、FEPフィルムを交換したりする際に捨てるレジンの量も少なくて済みますので経済的にもなっていますので、もし興味を持たれた方は下記URLにて詳細はご覧ください。
https://www.kickstarter.com/projects/644653534/uniz-ibee-breaking-boundaries-of-3d-printing
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