数年前なら1km程度しか離れていない場所に置いた観測装置から観測データを受信しようと思うと一般的にはモバイルルーターの様なものを利用して携帯電話会社の公衆回線を利用してデータを収集するしか方法はありませんでしたが、今では低消費電力で長距離通信が可能な通信規格やユニットがたくさん出て来ており、昔に比べれば非常に手軽に離れた場所からのデータを受信する事が簡単にできる様になっています。
そして現在、最も利用範囲が広がっているのが”LoraWAN”です。この”LoraWAN”はお互いが最大10km離れた場所にあっても通信できますので、最近では気象データ等の観測から(徘徊するクセのある方の見守りの為の)GPSトラッカーとしてまで幅広く利用され、大手通信会社も興味を持って投資を行っていたりします。
一方今回紹介する「TrackALL」にも採用されているSIGFOXと言う通信方式は”LoraWAN”よりも遙かに長距離、最大50キロも電波が飛ぶ通信規格で、国内では京セラコミュニケーションシステム(KCCS)が国内でのネットワークの展開をしており、既に大都市部では利用可能で、今年中には全ての政令指定都市でも利用可能予定となっています。
このSIGFOXは前述した様に通信距離が長いのが特徴なのですが、通信スピードが100bps程度と遅いのが難点で、遠隔地に設置したカメラの映像等を見ると言った用途には向いておりません。ただ920MHz帯の電波を使用する事から電波干渉に強く、更にこのSIGFOXが強いのは異なる周波数で3回、同じデータを送る事で、データのロストを防いでいます。
またSIGFOXはLoraWANとは違い基地局に通信する為に、基地局が立っている地域でないと利用できませんが、基地局はインターネットに接続されており、受信したデータは指定されたクラウドサーバーやローカルサーバーへと送信される様になっています。
また通信は双方向通信となっており年額100円以下で利用できると言うのが強みで、GPSトラッカーを作って家族に持たせて安否確認をしたり、気象観測を行ったりするのにはおそらく公衆回線を使ったものとしては最安値で利用できます。
ところで今回紹介します「TrackALL」ですが、これは単3電池で最大5年も連続稼働させる事ができ、センサーとしてはGPS,気温、湿度、気圧、高度、照度、加速度センサーが内蔵されており、その他にユーザーが自由に使えるGPIOが8ポート(うちアナログ入力が4ポートにI2C,SPI,UART×各1ポート)を備えています。
またこの「TrackALL」にはSIGFOXの他にMcAirと言う通信ユニットを搭載しており、通信距離は約1kmです。また独自規格のため、基地局となるmcGatewayが用意されていますので、SIGFOXの提供エリア外でも使用できる様になっています。
また「TrackALL」にはmodule120と言う加速度センサーと温度センサーを搭載した、モーショントラッカー(ドアの開閉や、振動を検知する様な)的な使い方のできる小型の通信モジュールも用意されています。
またこれらモジュールには独自もmcOSと言うOSが内蔵されており、mcCloudと言う専用のクラウドサービスを介してデータを送受信したり、mcStudioと言う専用のコーディングアプリケーションを使ってコーディングする様になっていますので、詳細につきましては下記URLにてご確認下さい。
https://www.kickstarter.com/projects/mcthings/trackall-a-wireless-battery-powered-asset-tracker
この記事へのコメントはありません。