今では樹脂を使った3D造形だけでなく、食品材料を使ってスイーツを作ったり、粘土を使って陶器を作ったり、コンクリートを使って建物を建てたりと、3Dプリンターは幅広い分野で使われています。
今回紹介する3Dプリンターはセラミック材料を使って陶芸を行う3Dプリンターで、最大造形サイズは500×500×700mmと非常にビッグで、ちょっとした置物も造形する事ができる非常に実用的な3Dプリンターです。
ただ粘土を材料に使った3Dプリンターの場合、粘土の粘性が高いため、チューブを通して材料をヘッドまで圧送する際に空気が混入し、その空気の混入でスが入ったり、表面に凹凸が出来たり、変形したりと言う事が大きな問題で、造形サイズが大きくなればなるほどそれは目立つので、掌に乗る様な小さな置物が作れる程度の3Dプリンターしか従来はありませんでしたが、今回紹介する「Matrix」はACEと言う技術により一気に500×500×700mmと言う造形サイズを実現した3Dプリンターです。
射出ムラを無くす画期的な技術ACE
今回紹介する陶芸用3Dプリンターには独自開発したACE(Air Chamber Extruder)が使われており、このACEによって射出ムラが解消され、常に一定量のセラミック材料が射出できるため、造形物の表面に凹凸ができたり、スが入ったりと言う事が解消されています。
ではのACEと言うのはどう言う技術なのかと言えば、簡単に言えば材料の中に混ざっている空気を抜く技術です。と言うのもドロドロの水の様な材料ですとエアーが混入したとしても少量ですのでそう大きな影響は与えませんが、粘土の場合は粘性が高いため、どうしてもエアーの固まりが混入し、それが射出ムラへと繋がり、結果的に造形に大きな影響を与える場合もあったり、造形後の補修で何とかなる場合もあります。
そこでこのACEと言う技術、システムは材料の中に入ったエアーを射出前に抜くシステムで、チューブを通って送られて来たセラミック材料はヘッド部分内でボールネジによる送り出し機構に送られる事で均一な圧力で一定量のセラミック材料を射出できるだけでなくチューブからボールネジに材料が移送される際にエアーが抜かれる仕組みになっている為、結果的に射出する材料にエアーの混入はない画期的なシステムになります。
0.4mmヘッドにより超高精細造形
次にこの「Matrix」では0.4mm径の射出ノズルが使われており、より高精細な造形が可能になっているのも特徴の1つです。
と言うのも、フィラメントと呼ばれる樹脂のロープを溶かしながら射出するFLA方式の3Dプリンターではヘッド内でフィラメントは解かれて射出されますので、押し出すと言うよりは溶けた樹脂がヘッドから流れ出して行くと言う感じになりますので、温度管理によって一定量のフィラメントの射出が可能ですが粘性の高い粘土やセラミックになると押し出なさいとヘッドから材料は押し出されないので相当な圧力を加える必要がありますし、更に射出ヘッドの径が細れば細いほどその圧力は比例して高くなります。
それをこの「Matrix」ではACEで用いたエアーを抜く為のボールネジが、螺旋状に溝が切られたボールネジが回転しながら粘性の高いセラミックや粘土と言った素材に高圧力をかけて押し出すため、0.4mmと言う細いノズルでも材料が詰まる事なく射出する事ができ、結果的に精細な造形ができるだけでなく、造形後の表面の凹凸を取る表面処理でペーパーヤスリなどで軽く擦るだけで表面を平らに仕上げる事ができます。
一気に仕上げる事ができる大容量の20Lタンク
そして「Matrix」には造形サイズでXYサイズ500mm×500mmは同じなのですが、高さで500mmのM500、600mmのM600、700mmのM700の3つのバリエーションがあり、M500には2Lのタンクが、M600とM700には5Lのタンクが標準付属しているのですが、さすがに5Lのタンクでも、どう言ったものを造形するかで大きく違って来ますが、途中で材料がなくなりと言う事があります。
もちろん途中で材料がなくなってもそこで停止し材料を補充後に造形を継続できるのですが、材料の補充が面倒と言う方には巨大な20Lタンクもオプションで用意されていますので、もし興味を持たれた方は詳細は下記URLをご覧ください。
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