FDM(熱溶融積層法) 方式の3Dプリンターを使用されている方は多いと思いますが、FDM方式と言うのは樹脂製のフィラメントと呼ばれる素材を熱で溶かして(ホットボンドの様なもの)押し出して造形して行きますので、ノズルの温度が変わると当然、フィラメントは固くなったり柔らかくなったりしてノズルから押し出されるフィラメントの量が変わり造形に失敗します。その他にもよく使われるABS樹脂は熱収縮率が高くベッドの温度が低かったり温度変化が大きいと収縮率が変わりこれも造形物が変形する原因です。
そして何より意外にも多いのはフィラメント切れです。造形物が小さければ2~3時間程度で造形できますが、ホビー機のFDM方式の3Dプリンターは20cm四方のものを造形するとなると一晩寝て起きてようやく完成するくらい時間がかかりますので、途中でフィラメントが切れればそこでアウトで、造形途中でフィラメントが切れた造形物は捨てるしかありません。
いくらフィラメントが安くなって来たとはいえ、ン千円分もゴミ箱に捨てるのは何とも勿体ないですよね。ですがいつ終わるともわからない(同じものを造形するならある程度予測はつきますが)ものをじっと監視しているワケにもいきません。
そこでフィラメントの残量を正確に把握し残り少なくなれば知らせてくれるフィラメントケースがこの「Bunker」です。
このフィラメントケース「Bunker」には2リールセットする事ができ、それぞれ独立して管理する事ができます。
使い方は簡単で「Bunker」制御用のアプリケーションをスマートフォンにダウンロードして、まずセットする新品のフィラメントを用意します(既に使っているものはフィラメントの残量(重さ)を確認しておきます)。そしてアプリケーションでフィラメントのリールに貼り付けられたバーコードを読み取ります(既にバーコードがアプリケーションに登録されていれば、そのフィラメントの特性や重量が自動的にセットされます)。もし登録されていなければ手動で1リールあたりのフィラメントの重量やそのフィラメントの種類、特性(フィラメント径やプリント温度やヒートベッドの設定温度、プリントスピード等)を入力します。
そしてデータの登録が終われば「Bunker」にフィラメントのリールをセットしてフィラメントをリールから引き出して「Bunker」にセットします。
そしてスイッチを押せば後は自動的にローディングされセット完了です。
セットできるフィラメント径は1.75mm~3mmです。セットできるフィラメントはPLA, ABS,木製, Copper, フレキシブル素材,PETG,HIPS,ナイロン等、特に制約はありません。
そしてプリントした結果をアプリケーションに入力する事でそのフィラメントの成功回数、失敗回数、そして成功、失敗時の使用したフィラメントの量やプリント温度やプリントスピードと言った印刷条件を入力しておく事で学習しプリント時の失敗を防ぐ事ができます。
その他にも失敗に直結するフィラメントに付着したゴミを取り除くフィルターを装備していたり(フィラメントにゴミが付着しているとそれがヘッドに詰まって目詰まりの原因にもなります)、意外と知られていないフィラメントの湿度管理もしてくれます。
買ったばかりのフィラメントのパッケージには乾燥材が入っているかと思いますが、これはフィラメントが湿度で変質する為です。変質したフィラメントは造形ムラとなり失敗につながりますから、この「Bunker」は内部の湿度を監視し、「Bunker」内部の湿度が規定湿度以上になるとスマートフォンへ通知して乾燥材を入れ替える様に支持してくれます。
そしてもちろん、フィラメントの残量が少なくなった時はフィラメント切れで失敗する前に即座にスマートフォンへ通知してくれます。
その他にも3Dプリンターに直接プリンターの異常を知らせるI/Oポートがあれば「Bunker」に接続しておけば「Bunker」がスマートフォンへ知らせてくれますし、フィラメントの送出をその時点で止めますのでフィラメントの無駄使いがなくなります。
ABSやPLAと言った汎用の素材であればまだ失敗してもそう落ち込む事はありませんが、高価なwood素材やCopper素材、フレキシブル素材となるとそうも行きませんから、こう言うフィラメントの残量をチェックしてくれるガジェットがあれば少なくともフィラメント切れでの失敗はなくなります。
なお「Bunker」の詳細な機能等については下記URLをご覧ください
https://www.kickstarter.com/projects/filamentbunker/bunker-your-3d-printers-perfect-companion
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