フィラメントと呼ばれる糸状、ロープ状の樹脂素材を溶かしながら造形するFDM(Fused Deposition Modeling/熱溶解積層方式)式3Dプリンターは、制御方式としてXYステージ式とデルタ式の2つがメジャーな方式で、この他にもヘッドを上下させずにベッドを上下させるものや、ロボットアームを使ったもの等様々な制御方式が考案されています。
そして今回紹介する3Dプリンター「Plybot」も2本のロボットアームでヘッドを掴んでいると言うちょっと変わった構造をしているのですが、この構造により静音性に優れなおかつ高速造形が可能な3Dプリンターとなっています。
高速プリント
従来の制御方式うち、XYステージは最も安価に装置の製造が可能で、フレームやレールを大きくすればいくらでも造形サイズを大きくできると言うメリットがある反面、造形精度を上げようとするとヘッドの移動に伴うバックラッシュ(車で言うところの急ブレーキを踏んだ時の反動)を抑えようとすると反転する前に移動スピードを減速しなければならずそれがかえって造形ムラを引き起こしたり、造形スピードの低下を引き起こしたりします。
そしてデルタ型は三角形状に設置した3本の柱から伸びるアームを上下させる事で3本のアームに繋がったヘッドを動かすのでバックラッシュがほぼない他、ヘッドの移動スピードも早くでき造形スピードもアップできる反面、装置の高さが造形サイズの倍以上は必要なため、非常に背の高いものになってしまい広い設置スペースを必要とします。
一方この「Plybot」は1つの関節を持った2本のアームの様なものでヘッドを挟むと言う非常に変わった構造になおり、アーム同士を引っ張り合う事でヘッドを動かすと言う非常に変わった構造になっているのですが、デルタ型同様に最距離でヘッドを目的とする場所へ移動させる事ができる他、お互いのアームが引っ張り合ってヘッドを動かしていますのでバックラッシュが発生せずほぼ最短距離・最短時間でヘッドを移動させる事ができますので造形スピードを早くする事ができます。
寝室で使える静音性
そしてこの「Plybot」はXYステージを使ったFDM式3Dプリンタの様にヘッドが縦横無尽に動くと装置そのものを防音性を持ったカバーで覆わなければなりませんので装置そのものが非常に高価になるのですが、この「Plybot」では2本のアームはボールネジによって上下はするもののZ軸のボールネジに繋がったモーターは筐体内に収納されていますし、2本のアームの根元に取り付けられたアームを動かす為のモーターもケースで覆われており、外部のモーターの動作音の漏れが少なく寝室で寝ている間に造形できると言うのは大袈裟かもしれませんが、それくらい静音性を持っています。
造形スペック
またこの「Plybot」の性能ですが、まず造形サイズは最大127mm×152.4mm×177.8mmで積層ピッチは0.02mm〜0.3mm、デフォルトは0.2mmとなっており、扱えるフィラメントはPLAのみです。
またインタフェースはUSBにWiFiもサポートしており、ブラウザからの造形にも対応しているのが特徴ですのでもし興味を持たれた方は下記URLにて詳細はご覧ください。
この記事へのコメントはありません。