レジン樹脂液を紫外線で硬化させて造形するSLA方式の3DプリンターはPLA方式の3Dプリンターとは比べものにならないくらいの高精細、高解像度の造形が出来る事で精度の要求される例えばフィギュアなどの造形に適していますが、問題は1本の紫外線レーザーを一筆書きする様に方向を変えて照射しながら造形を行いますので、非常に時間がかかり高さ50mmのものを造形するのに4〜5時間かかると言った事もザラでした。
そんな中、造形スピードの飛躍的な向上に繋がったがLCD-SLA方式と言う、みなさんが見ている液晶モニターに造形物を輪切りしたデータを順番に紫外線バックライトを宛ながら順番に表示させて一気に面単位で造形する手法で、造形スピードは早いものですと1/10程度までに短くなりました。
ですが一方でXY解像度はLCDのピクセルサイズに大きく依存するため、8K解像度のLCDを使えばかなり高精細なものを造形する事は出来ますが、それでもレーザー光を使ったSLA方式の3DプリンターのXY解像度は照射されるレーザーの直径によって決まって来ますが、より細いレーザーを照射する事ができるレーザーモジュールを使えばLCD-SLAのボトルネックとなっている解像度は上げる事ができますが、スピードだけはどうしようもありません。
そこで今回はプリズムを使ってレーザーの照射向きを変える事でボトルネックとなっていたスピードを大幅に改善し50mm/時間の造形が可能なSLA方式の3Dプリンター「STARFIELD 3D」をご紹介致します。
プリズムスキャンにより造形スピードを大幅にアップ
一般的にレーザー光源を移動させながらレジンを硬化させて行くSLA方式の3Dプリンターの場合、レーザーモジュールの光源の向きを変えてレーザー光を照射していましたので、あまりも早くスティッピングモーターを動かすとバックラッシュが発生しレーザー光源がブレる事から移動スピードには限界があり、そこがボトルネックとなってLCD-SLA方式が誕生する切っ掛けとなったのですが、今回紹介するSLA 3Dプリンター「STARFIELD 3D」では、ごく最近登場したプリズムスキャンと言って、回転するプリズムにレーザー光を照射し、レーザー光がプリズムによって屈折してレーザーの飛ぶ方向を変える事で照射位置を高速に変える事ができる方法を採用しています。
そして18,000rpmと言う超高速回転するプリズムでレーザー光の照射方向を高速に変えられる様にする事でXYボリューム350×200mmとA4サイズよりも大きなものを造形できるボリュームを持ちながら何と1時間あたり50mmの造形が行えるだけでなくXYZ最大解像度25μmと非常に高精細な造形ができ、高さは最大350mmのものまで造形する事ができますので、最大サイズのものを作ったとしても7時間程度しかかかりません。
これが一昔前のレーザー方式のSLAプリンターでしたら丸1日以上かかっていたでしょうし、位置制御もいまほど高精細ではないため、大きいものを作ると必ず失敗するのがSLA方式なのですが、この「STARFIELD 3D」ではそう言った事はありませんし、ベッドなども常に位置補正されて失敗がない様に工夫されています。
レジン温度と量を制御する事で失敗のリスクを最小限に
次にSLA方式の3Dプリンターにおいて造形に失敗する要因としてベッドの位置ズレ(1mm上げる所を1.2mm上がってしまったり、0.8mmしか上がらなければ前者は硬化されたレジンが連続してひっつきませんし、後者は圧縮した様になります)、そしてレジンの温度変化による硬化スピードの変化が上げられます。
特に大きなものを造形する場合、途中でレジンを補充しなければなりませんが、その際にレジンの温度が違えば硬化スピードに差が出て来て境目が生まれて失敗を引き起こしたりします。
そこでこの「STARFIELD 3D」ではレジンをタンクにヒーターを内蔵しておりレジンを一定温度に保つ機能を持たせて温度変化をなくしている他、レジンはセットされたレジンボトルから自動でタンクに供給する様にする事でレジンの温度ムラやレジンを供給する際に波が立ったりするのを防ぐだけでなく、レジンを少しずる補充する事でレジンの節約も同時にこの「STARFIELD 3D」は行える様に工夫されおり、破棄するレジンが減少する事で環境やお財布にも優しくなる様に作られています。
カービングも行えるSLAプリンター
そしてこの SLA 3Dプリンター「STARFIELD 3D」でもう1つ便利なのは、3Dプリンターでカービングが行える事です。
カービングと言うのは余分なレジンを洗い流した後に表面のレジンを紫外線を当てて硬化させる処置で、これには別途カービング用のボックスなどを購入しなければいけないのですが、この「STARFIELD 3D」はカービングもこの3Dプリンターで行う事ができ、しかも1〜3分と非常に短時間でカービングを行う能力を持っており、造形を一環してこの3Dプリンター1つで行える様になっています。
また造形中は蓋を閉める事で中のエアフィルターが造形時に発生する有害物質を取り除く機能等も備えていますので、もし興味を持たれた方は詳細は下記URLをご覧ください。
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