フィラメントと呼ばれる樹脂素材を溶かしつつ3D造形して行くFDM(熱溶解積層法)方式の3Dプリンターのネックは何と言っても造形スピードです。
造形されたオブジェクトのクオリティーはモーターの高性能化により、SLA(光造形)プリンタ並のクオリティーを誇るものも出て来てはいますが、クオリティーを上げる、解像度を上げると造形スピードが落ちると言う欠点を持っており、夜寝る前にデータをセットして3Dプリンターを動かしていて朝になって確認してみたら途中でベルトやギアが滑ったのか、グッチャグチャの樹脂の固まりが3Dプリンターの上に鎮座しているだけだった、なんて事がよくあります。
と言う様に造形に時間がかかると言うのは、仕上がった造形物を見てデータを修正してまた造形し直すと言う修正にも時間を要し、あまり効率的ではありませんし、だからと言って解像度を落としてドラフトプリントして仕上がりを確認してから造形すると言うのもフィラメントと時間を無駄に使う事になります。
そこでそう言うFDM方式の3Dプリンターの欠点を見事にクリアし高速造形を可能にしたFDM方式の3Dプリンタ「A1」をご紹介致します。
プリントスピード90mm/s、移動スピード300mm/sでも変わらない解像度
この「A1」のハードスペックは最大造形サイズは240 x 180 x 240 mmのXY解像度は12.5μmの積層ピッチは2.5μmとFDM方式の3Dプリンタとしては高解像度に分類されます。そしてこの解像度は90mm/sでも維持されると言うのがこの「A1」の一番の特徴です。
普通は高解像度で造形しようとするとプリントスピードを落とさざるを得ません。それはヘッドやベッドの移動に伴うバックラッシュや振動によって造形物も一緒に揺れ、射出したフィラメントが目的とする場所に正しくプリントされず位置がズレてしまうからです。
これはある程度、フレームの剛性を上げたりヘッドの動かし方や加減速を制御する事で抑えられるのですが、それでもスピードを落とさずにクオリティーを保つのは至難の業です。
それをこの「A1」ではフィラメントの送り出し用のモーターをヘッドではなくフレームに固定する事でヘッドをできるだけ軽くし、ヘッドの移動に伴うバックラッシュや振動を減らし、更にヘッドはXY軸方向にしか移動させなくしてベッドを上下させる事でヘッドができるだけ揺れない様に工夫する事で移動スピードを落とさずにクオリティーが維持できるのです。
ワンタッチ交換ヘッド
更に造形スピードを上げる上で重要なのがフィラメントを押し出すヘッドの穴の大きさです。
穴の径が大きいとそれだけ射出できるフィラメントの量が多くなりますので単純なオブジェクトを短時間で造形したい時には穴径が大きい方が便利ですし、フィギュアの様な微細な造形が要求されるものは穴径が小さい方がより細かい表現が可能になります。
そこでこの「A1」ではワンタッチで取替可能なヘッドが3種類(0.25mm、0.4mm、0.8mm)も付属しており、より多彩な表現ができる様になっています。
ヒーターベッドで、使えるフィラメントは幅広く
そしてこの「A1」はスピードや解像度だけではなく、使用できるフィラメント素材もABSやPLAと言った一般的なフィラメントに加え、ヘッドの最高温度は275℃、ヒーターベッドの最高温度は60℃と非常に高温に加熱維持できる為にシリコンやラバー的な柔軟性を持ったフィラメントや木の様な特性を持ったフィラメントもまで様々なフィラメントが使えるのも特徴ですので、もし興味を持たれた方は下記URLにて詳細はご覧ください。
https://www.kickstarter.com/projects/781495404/a1-the-fast-and-professional-3d-printer
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