昔は”日曜大工”と言うとお父さんを連想したものですが、最近では○○女子と言う言葉が流行っている事からもわかる通り、”DIY女子部”と言う日曜大工をするお母さんや女性が大活躍する時代で、ホームセンターでもメジャーを持った女性が木材コーナーや金物資材のコーナーで材料の吟味をしている姿をよく見かけます。これはインターネットや本でどうやって加工するのか？と言う情報が何時でも何でも情報収集できるのと、ホームセンターによっては買った木材をカットしてくれるサービスがあったり、加工コーナーを無料で貸してくれたり、また便利な木材加工用の電動工具(電動ドライバーやインパクトドライバー、電動ノコギリ、ジグソー、電動カンナ、トリマー等)がたくさんあり、図面が書けて展開図が描ければ力がなくても加工できる事もDIY女子部が増えている理由です。
　ですが電動工具は直線的な加工は得意ですが、曲線となるとちょっと大変です。例えば円形のちゃぶ台の様なものを作ろうと思うと木材を円にカットしなければなりませんが、こう言う加工はまずジグソーで円よりも多少大きくカットして後はベルトサンダーを使って丸く仕上げて行くのが電動工具を使った簡単な加工ですが、ベルトサンダーを使って波打たないで丸みをうまくつけると言う加工は結構大変で、そう言う加工は苦手と言う人は多くおられますし、本棚や飾り棚をちょっとオシャレに飾ろうと模様にくり抜くなんてのは飾り職人でなくてはとうてい無理です。

　ですがこの「Maslow」があれば飾り棚や本棚はおろか欄間でも何でも加工できてしまう木工用のCNCマシンなのです。
　

　この「Maslow」は特に目新しい技術を使っているわけではなく既にお絵かきマシンとして数多く作られている”ハンギングプロッター”の技術が使われいます。この”ハンギングプロッター”は２本のXY軸上をヘッドが動くプロッターとは違い、スパイダーマンの様に2本のワイヤーを描画するイーゼルや黒板の右上と左上にくくりつける事でその2本のワイヤーを伸ばしたり縮めたりする事で位置を移動して描くプロッターで、一番の利点はXYプロッターは例えば2m四方の絵を描こうと思えば最低横幅2mもあるプロッターマシンが必要になって来て持ち運びも大変ですし、保管も場所を取りますが、この”ハンギングプロッター”は壁に紙を貼り付けて天井からハンギングプロッターをぶら下げれば持ち運ぶのは小さなハンギングプロッターだけで済み、描く絵の大きさはワイヤーの長さに比例してワイヤーを長くすれば長くする程大きな絵を描く事ができると言う、場所の制約を受けないと言う利点があります。

　その”ハンギングプロッター”の技術を利用してCNCマシンにしたのがこの「Maslow」で、加工範囲は4フィート(約1.2m)×8フィート(約2.4m)で、分解能は何と0.4mmと信じられなくくらいの超精密さで1分間に48インチ(約122cm)の加工速度を誇るマシンなのです。ですからこの「Maslow」を使えば壁に取り付ける飾り棚の底板に彫刻を施すと言う様な事も簡単にやってくれますし、欄間の加工だって夢ではありません。

　ただ問題は加工できる板厚が1.5インチ(約3.8cm)までで、「Maslow」を1回動かして削れる厚みは1/8インチ(約3mm)なので現状では深く彫りこんだり厚みのある板を切り出したりする場合は彫っては止まり、ルータービットを1/8インチ出してまた掘り進ませると言う作業を延々と続けなければならないので難点ですが、それを除ければデータ通りに緻密に加工してくれますから想像するだけでちょっとワクワクしますよね。またこの手作業の問題はオーナー自ら感じている様で資金の集まり具合によっては自動でルータービットを上げたり下げたりする機構を約$60程度で追加できる様にする予定だそうです。

　でもこんなCNCルーターがあれば木製の巨大な看板だって楽々加工できますから、舞台の建具や小道具等を作っている大道具さんにとってはとても助かるツールではないでしょうか？詳細については下記URLをご覧ください

https://www.kickstarter.com/projects/1830738289/maslow-cnc-a-500-open-source-4-by-8-foot-cnc-machi