皆さんが日常運転している車の仕組みがどうなっているのかご存知でしょうか?特に電気系統の進化は昭和の時代の車では考えられないくらいの進化を遂げており、皆さんがハンドルを持ち、アクセルやブレーキを踏んで操作している様に見えていても、実際にその操作は一度、車両に搭載されたコンピュータに送られ、車載コンピュータが車をコントロールしていると言っても過言ではありません。
その良い例がアクセルで、十数年前までの車両でしたらまだアクセルとエンジンはワイヤー1本で接続されアクセルを踏むとそのワイヤーが引っ張られてストットルが開きエンジン回転数が上がって車は加速したのですが、今の車両はアクセルにはセンサーがついていて、どれくらいアクセルを踏み込んでいるのか?と言う量をセンサーで数値化してコンピュータに送り、それに合わせてコンピュータはストッロルを制御する装置に信号を送ってエンジンの回転数を制御していますので、昔の車ならいきなりアクセルをベタ踏みすれば一気にエンジン回転数は上がりましたが、今の車はアクセルをベタ踏みしてもゆっくりとしか上がって行きません(スポーツモード等のモードがあってリニアに反応する様に設定されていたりすれば別ですが)。一方ブレーキもABS(アンチロックブレーキシステム)と言って急ブレーキをかけた時にタイヤがロックされてスピンや横転しない様なシステムが搭載されており、実際のところブレーキもコンピュータで制御され、ハンドルだって駐車のアシスト機能や自動運転機能が搭載された様な車両はコンピュータでハンドルを勝手に動かす事が可能です。
と言う様に今の車は搭載されているコンピュータがコントロールしていると言っても過言ではなく、そう言う車両の中を流れている制御信号を解析して表示するだけでなく、逆に信号を流す事で車両をコントロールする事ができるのが、この「AutoPi」です。
この「AutoPi」はODB-IIと言う車両診断コネクタに差し込むアダプタで、中身はODB-IIコネクタのCAN信号をUART信号に変換するインタフェースユニットとRaspberryPi Zero W、そしてGPS受信機とLTE通信ユニット、LTE通信で構成されており、LTE通信ユニットを搭載している事からもわかる通りインターネット経由でもスマートフォンやPCから”AutoPi Cloud”と言うクラウドサーバーを経由して安全に車両にアクセスする事ができます。
そしてこの「AutoPi」で何ができるのかと言いますと、RaspberryPi Zero WはWiFi通信モジュールを標準装備していますので、スマートフォンやPCを使って直接WiFiで「AutoPi」に接続しスマートフォンにインストールした専用のアプリケーションやPCのブラウザで「AutoPi」にアクセスして車両の情報・状態を見る事ができるのですが、「AutoPi」に最初から「AutoPi」を設置する車両のCAN信号の”ID”が登録されていてば、すぐに車両のあらゆる情報を見る事ができます。例えば、車両のスピードやエンジン回転数、水温やATFオイルの温度、ストロットル開度と言ったものから、各ドアの開閉状態からロック状態、外気温や室内温度、その他ありとあらゆる情報にアクセスする事ができます。
ただここで1つ気をつけないといけないのはこの「AutoPi」でサポートしているCANのインタフェース規格は”ISO 15765-4, ISO 14230-4, ISO 9141-2, SAE J1850 VPW, SAE J1850 PWM, SW-CAN, MS-CAN, ISO 15765, ISO 11898, SAE J1939”なのですが、独自の規格で進化して来た日本の自動車メーカーで世界標準のCAN信号に対応している車両はほんのわずかだと言う事です。海外から逆輸入した車両はCANにほぼ対応していますが、トヨタのプリウス以外の国内で販売されている車両はほぼ最初からは対応していないと思った方が懸命です。
ですがこの「AutoPi」にはパケットの表示機能もありますので、自分でCAN信号を流れるパケットのIDを車両の状態を変化させながら調べると言うのも面白いですし、もし解析できたなら今度は「AutoPi」からCANパケットを作って車両に送ると言う事もできるのです。例えば、スマートフォンから、車両をロック、アンロックすると言うのはもちろんの事、イモビライザーに登録されたイモビコードを擬似的に送ってエンジンのスタート信号を送れば、リモートスタートする事だって可能です。
しかもPythonでプログラムを書いて「AutoPi」に書き込んおけば、例えば車内の室温情報を取得して自動的にエアコンをプログラムでON/OFFすると言った事もできてしまうのがこの「AutoPi」の魅力ですし、そう言う事ができない方でもODB-IIはエンジンを切っても常時電源供給されていますので「AutoPi」はバッテリーが上がらない限りは動き続けます。
ですので、「AutoPi」にはGPSも搭載していますし、SIMカードを挿せばLTE通信もできますので(“AutoPi”はRaspbianベースのOSなのでWiFiの接続設定を書き換えて車内に常時置いてあるモバイルルーター経由でインターネット通信する様に書き換えれば新たにプロパイダと契約しなくても通信できます)ので車両の位置を常時確認する事ができる他、加速度センサーも搭載していますので、もし車両の停車中に加速度センサーが反応すれば決められたメールアドレスにメールを送信すると言うプログラムを書いて書き込んでおけば、カーセキュリティーとしても立派に機能しますので、CANで通信できなくても使い方は色々とあります。
ただ初心者の方にはかなりハードルの高いデバイスですが、是が非でもCAN信号と戦って車両を制御してみたいと言う方にとってはこれだけ簡単に車両のCAN信号にアプローチできるデバイスはそうありませんので、興味を持たれた方は下記URLをご覧ください。1
https://www.kickstarter.com/projects/autopi/autopiio-the-first-extendable-iot-platform-for-you
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